テディベア販売のこと


この秋、MIHO MUSEUM(滋賀県)に納品させていただいたテディベアがSOLD OUTとなりました。

ありがとうございました!

以前からstudio482+として、職人や作家に製作して頂いた台所道具(オリジナルの鉄フライパンやすり鉢、拙著など)をMIHO MUSEUMに納品していた経緯があり、今回はありがたくもお声をかけて頂き、試験的ではありましたが、(ひっそりと)テディベアを販売する運びとなったわけです。

生まれてはじめて、自分が製作したモノを納品したわけで、それはもう心臓が飛び出るほどの勇気がいりました。昔から弱気なところがあるから、美術館まで行って自分のテディベアが置かれてあるのを見たときは、何と表現していいか分かりませんが、穴があったら入って、目をつぶってじっとしていたいような気分でした。そのときの気恥ずかしさといったらもう....。

ベアに駆け寄って「がんばっているね。ありがとう。夜になったら真っ暗で寂しいけれど、くじけないのよ。もし売れ残っても、ちゃんと我が家に連れて帰るから。そうしたらみんな(←家にいるベアたち)に今回の体験を武勇伝として話したらいいね。」と心の中でささやきました。

ふいに悲しくなってしまって、担当者に「会期が終わったらすぐにこちらに送り返してください」と言い残し、車に乗り込みました。

自分に対しての自信のなさが、当然ですが、ありました。また、我が子を大きな建物に残す親の気持ちになったような...つらい気持ちもありました。

ほとほと自分のちっぽけな心に情けなさを感じて、車の窓から見える景色が目に入らないほど、美術館に残されたベアを思い浮かべ、しんみりした気持ちになったのを覚えています。


それから3週間ほど経ったある日、担当者からSold outの知らせが届きました。

嬉しくて興奮して、天に深く感謝したのでした。情けない気持ちはどこかに吹っ飛んでしまって(この自分の単純さに呆れましたけれど)、今日も腕をまくってベアを製作しています。

モノを作る人たちは、こうやって少しずつ階段を上がっていくのだろうなぁと、一番下の段をゆるやかに一歩踏んだ者は思うのです。


MIHO MUSEUMに行ったひとり「クゥさん」


ありがたいことに時々「テディベアが欲しいのですけれど」というお問い合わせを頂くこともありまして、心から嬉しく、感謝するばかりです。激励のメッセージと受け止めて手を動かしています。

販売のことはぼちぼち考えていまして、MIHO MUSEUMで販売できたことは大きな一歩となりました。

ベアの顔がひとつひとつ違うこと。サイズ、重さ、感触を画像では伝えられないこと。そんな理由から、オンラインでの販売は考えていません。じかにベアに触れてもらい、互いの魂を行き来させてから「この子だ!」と思ってくださったら、自分の子として家に連れて帰って欲しいなぁと思いますから。

じかに触れていただける小さな「ちくちくベアと出逢う会」みたいなものが設けられたらいいなぁと思っているところです。

私の意向としては、ベアをご自分で製作する「ちくちくベアの会」というワークショップが、私のメインの活動である思っていて、販売はたぶん相当スローペースだと思います。

今までメッセージ等で「欲しい!」と言ってくださった方々には大変申し訳ありませんが、販売に関しては、これからゆっくりと決めていきたいと思います。どうぞご理解ください。

あくまで自分優先の人生なので(えへへ、でもこれは大事!)、ストレスにならないように気をつけながらテディベア製作に励みたいと思います。


なお、利倉佳子さんの型紙を使っての販売については、ご本人に許可を得ておりますことをお伝えしておきます。

利倉さんがいるおかげで、はじめて私はテディベア製作ができるということを忘れずに、これからもテディベアに魂を吹き込んでいきます!

ありがとうございます。




ChikuChiku bear

かばんに入れて一緒に旅をしたり、不安な夜は寄り添い、いつも話を聞いてくれるかわいい相棒、テディベア。そんな’わたしのベア’を作るワークショップを運営しています。ワークショップのご案内や日程、人とベアのまつわる話などをブログ形式で綴っています。

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